EC2、Salesforce、Heroku、Google App Engine(と従来の自前の物理サーバー)の比較をします。それぞれ、実際に触ってみた感想です。 それぞれ使いどころがあるので、状況に応じて使い分けたり組み合わせたりするといいと思います。
簡易比較表
EC2 | Salesforce | Heroku | GAE | 自前 | |
---|---|---|---|---|---|
イニシャルコスト※ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × |
保守・運用費用 | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | × |
ストレージ費用 | ◎ | ◯ | × | ◎ | × |
自由度 | ◎ | × | △ | × | ◯ |
サーバー設定コスト | × | ◯ | ◎ | ◎ | × |
冗長性 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × |
移植性 | ◎ | × | ◯ | × | ◎ |
VPN | ◎ | × | × | △ | ◎ |
EC2
つかいどころ:柔軟さが求められるユーザーに近いシステムEC2の特徴は、自由度の高さとサーバー調達の容易さにあります。OS選択からアプリ設計まですべて自由に行なえます。標準的なLinuxサーバーや構成を使えば、移植性も損ないません。また、サーバー増設の際にも物理サーバーを購入するために奔走する必要はなく、簡単にコピー、立ち上げ、冗長化を行えます。欠点は、自由度ゆえのハードルの高さです。
Salesforce
つかいどころ:他社でも行うような定型業務に近いシステムパッケージ全般に言えることですが、Salesforceは標準機能をうまくつかいこなすことで、コストパフォーマンスが高くなります。たとえば、アカウント管理やそのセキュリティコントロールなどです。導入の際は、自身の業務が標準的なシステムに落とせるかどうか、一考するといいと思います。一方で、Salesforceを使う際の注意点は、カスタマイズを小さく抑えることです。標準機能にはないような複雑な実装をすると、将来、移植が必要になったときに負の遺産になります。古いシステムの不便さと移植コストのジレンマに陥る企業は少なくありません。そして、システムの移植はつきものです。
Heroku
つかいどころ: エンドユーザー向けの試験的サービスの運営Herokuの特徴は、スケーラビリティ(冗長性)とアプリ周りの設定の容易さにあります。負荷分散をするときは、サーバーの台数をコマンド一本で調整できます。また、試験的サービスにおいて重要なのが、設定の容易さで、開発コストの1/3〜1/2くらいは設定周りに費やされますが、herokuの場合は設定をほぼ自動的に行ってくれるため、すばやいリリースが可能です。ただし、ストレージ料金が高いので、DBだけEC2に置くなどして、他サービスと組み合わせて対策するといいと思います。
Google App Engine
つかいどころ:エンドユーザー向けの挑戦的なサービスGoogle App Engineの特徴は、オートスケールと設定の容易さです。Herokuとよく似ていますが、Google App Engineは、言語がpython(google三大言語のひとつ),Java,Go(Googleが作った新しい言語)に、DBがBigtableに限定されるかわりに、自動でサーバーの処理台数を増減させたり、 設定を容易にできます。キャンペーンサイトなどで急激なアクセス増が期待される場合やアクセス数が読めない場合に有効です。
自前サーバー
つかいどころ:極めて大規模なサービスを自前で運営する場合物理サーバーの扱いに長けた優れたインフラエンジニアを擁している場合で、かつ大規模なシステムの場合にはいいかもしれません。あるいは、クラウドサービスが社内稟議で通りにくい場合も有効かもしれません。
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